移動ロボティクス研究室(太田研)の志望者へ
移動ロボティクス研究室(太田研)に入って研究をしたいと希望する学生諸君は,このHome Pageをしっかり読んでおきましょう.
研究室の選び方(一般論)
志望する研究室を選択するには,
- 研究内容
- 指導体制
- 研究を進めるスケジュール
をまず良く理解することを勧めます.
研究内容に興味を持てるかどうかが最も重要です.研究対象と共に,研究手法についても理解しておきましょう.
指導体制は,東京大学のように教員が比較的忙しい場合には重要です.学生の自主性に任せているか(放任主義か)それとも面倒見が良いか,研究室内で十分な討論がされているか,指導体制が出来上がっているか,といった視点で自分の性格に合った研究室を選びましょう.
大学院の場合,研究室に居る時間が長いだけに,先輩後輩の関係,研究室の行事も見ておきたいものです.これは自主的に実施されるので,このHomePageなどからは分からない場合が多いでしょう.先輩に尋ねてみましょう.
配属研究室の意味
卒業論文の配属研究室あるいは修士課程・博士課程での研究室は,今後の進路を決める重要な分かれ道です.ですから,研究室を訪問し,内容を理解して,選択すべきだと考えています.自分のやりたいことが何であるかを考えて,選択して下さい.
たとえ志望する研究室に配属されなかったとして,それもまた,人生にとって良いことかもしれません. 本当にやりたいことがあるなら,それはどの研究室に入ったとしても,また,その研究室で自分の希望とは異なる研究に従事したとしても,人生の中では最終的に希望通りになるものです.
学生・院生・研究生
移動ロボティクス研究室(太田研)で研究するにもいろいろな立場が有ります.
※当研究室では基本的に研究生はとりません.
以下,各々について説明を行います.
卒論研究室として志望を考えている学生へ
卒業研究を行う研究室の選択のためには,まず研究室年間スケジュールを理解しましょう.2~3カ月に一回程度研究会での発表があり,2月の卒論発表,成果が十分にあれば3月以降の学会参加と結構忙しいです.当研究室では研究者の生活に節目を作って,頑張れるようにしています.それだけ,研究室として学生諸君の面倒を見ているとも言えるのです.
研究内容は,研究を見ましょう.ロボット工学,サービス工学,生産システム工学の研究には夢があります.簡単そうに見える作業でも,実現には相当手間がかかります.「夢と現実」の差を埋めることができるのは「夢を持っている人」による地道な研究だけなのです.
ちなみに8月終わり~9月の初めには大学院入試があります.精密工学専攻の大学院入試については, 大学院工学系研究科のHomePageを見てください.
精密工学専攻の修士課程は英語・数学・物理だけです.専門はありません.これを機会に,大学で習った分野を再学習をしましょう.
修士課程入学希望の国内他大学学生へ
入試に関する手続きは必ず正式な書類を見て下さい.制度は予告無しに変更されることがあります.
修士課程を受験するためには,大学院入試の受験願書を工学系研究科へ郵送し(7月です),同時に精密工学専攻に一部の書類(志望研究室調査など)を提出してください.入試の内容は,英語・数学・物理の3教科だけです.専門科目が無いだけに,学科内部も外部もまったく同じ状況での競争です.
修士課程受験の場合,教員に予め連絡する必要はありません.しかし,精密工学専攻の教員の分野は広いので予め研究内容を十分掌握しておくことを勧めます.それだけに予め教官とコンタクトをとり,研究室のOpen Houseなどの機会に見に来る方が良いでしょう.
研究室毎の定員は毎年変化しますが,2名程度です.外国人の定員枠は別です.
修士課程での研究テーマは修士1年の4月頭には決まります.卒論から続いて研究室に残る場合でも,卒論と修論のテーマは変わる事があります.
修士1年では,広く勉強することを目標としています.研究室内部では,計算機担当,物品購入担当,行事担当などの研究室業務を分担します.教授室には秘書が居ますので,事務は扱ってくれます.修士2年では研究に近い講義を取る以外は,修士論文研究に没頭します.大半の修士は2年で修士論文を書き,修士(工学)として修了します.博士課程には各学年から数名進学します.
重要なことはできるだけ長い時間研究室にいて他のメンバーと議論することです.
博士課程入学希望の国内他大学学生へ
入試に関する手続きは必ず正式な書類を見て下さい.制度は予告無しに変更されることがあります.
博士課程を受験するためには,修士課程と同様に大学院入試の受験願書を工学系研究科へ郵送し(7月です),同時に精密工学専攻に一部の書類を提出してください.入試の内容は,英語と専門科目です.専門科目は選択制です.
博士課程受験の場合,かならず教員に連絡してください.遅くとも6月末日までに連絡して下さい.
博士課程入学は10月と4月です.3月修了見込みの修士2年在学生は,9月に第1次試験を受験します.修士論文の中間報告と博士課程に入ってからの研究計画について,発表します.2月には博士課程の2次試験が行われます.これは修士論文を発表し,その内容についての試問を行います.
博士課程は3年が標準的な修了年限です.3年で博士論文を書けない場合もしばしばあります.逆に本当に優秀な論文が準備できるなら2年でも修了できます.博士課程から研究室に入って,博士課程から新たな課題を研究し始めた場合,研究分野の理解やテーマの絞り込みを早くすることが重要です.研究テーマは,個人の希望と研究室の方向づけ,Facilityなどから決めて行きます.博士課程での研究は世界の最先端を追求しますから,当然,学生自身が世界の最先端にいなければできません.それだけの気概を持つことが必要です.
自分の研究分野に自信を持つ簡単な方法は,数多く(100編程度)の関連研究の論文を読み,サーベイ論文を書くことです.そうして,指導教員だけでなく,研究室のメンバーと話し合い,また世界の研究者と議論することを勧めます.
博士課程の院生は,自分の研究を進めるのみならず,後輩の指導にあたることを求められます.それだけに研究対象分野を広く知っていることが重要です.博士課程に入学するまで研究テーマに関連する仕事をしてこなかった場合には,研究分野の調査に時間がかかりますので,3ヶ年での博士課程修了は極めて難しいのが現状です.
おわりに
東京大学に入学するには,激烈な競争があります.それに比較するなら,大学院の入試は楽とさえ言えるでしょう.だからといってやる気が無い学生が移動ロボティクス研究室に入ってくると,それは本人にとっても,研究室にとっても悲劇となります.
教員は学生・院生のために,研究機器を準備し,研究グループを構築します.各人は個人として研究を行うと共に,研究室の仲間と討論を戦わせ,相互に研鑚します.研究室全体としての研究に適した環境があればこそ個人の活動も保証されるのです.それだけに個々人の能力,意欲が常に問われる場です.
言われたことだけを済ませれば,論文が出来上がるわけがありません.研究とは学生自身が自分で悩み切り拓いていくことで進めるものです.教員はその支援をするだけです.大学の研究とは,自分で未知の荒野を開拓して行く作業です.
最後に伝えます.もし大学院をモラトリアム(社会にでるのを遅らせるために,在学する)として考えているなら,移動ロボティクス研究室(太田研)は止めた方が良いでしょう.
移動ロボティクス研究室の一年
ここに1年間のスケジュールの概略を示します.
当研究室では,4月1日あたりに第1回の会合を持ちます.研究室での相互研鑚を積む体制を作っています.年間活動の概略は次のようです.
期間 | 発表会 | 定例行事 |
---|---|---|
4~7月 | ミニ論発表会(7月) | 事務連絡,研究会(週1回) グループミーティング(週0.5回) |
9~11月 | 公開研究会(11月~12月頭) 卒論中間発表会(10月) |
|
12~3月 | 卒論,修論提出(2月上旬) 学術論文執筆(修士論文生,3月) |
- ミニ論
- 卒論生の場合には卒論のミニチュア版として4月に課題設定をし,7月に発表会を行う研究.研究の方法,論文の書き方,発表の仕方を学びます.研究室全員が何らかのテーマで発表します.この発表会を以って卒論生は研究活動を終わりとし,夏休みに入ります.
- 公開研究会
- 東洋大,中央大,筑波大,成蹊大,青山学院大等々と共同の「先端ロボット研究会」として,11月に大学間持ち回りで実施しているものです.移動ロボティクス研究室では卒論生が発表するのが通例です.
グループミーティングとは個人テーマ毎の研究ディスカッションです.週1回程度の勉強会を開催する場合もあります.
修士学生の場合,修士修了までに最低1~2回程度の国内会議発表,最低1回程度の国際会議発表,最低1本の学術論文投稿を目指してもらいます.
研究室では,卒論,修論は研究の側面と学習の側面の両方を持つと考えています.それゆえ,研究の方法や論文の書き方について,丁寧な指導を心がけています.しかしながら,学生諸君が自ら積極性を示さない限り,研究を続けることはできないということに注意してください.