移動ロボットの知能化により,その適用範囲を,従来の工場環境から家庭・オフィス環境へ拡張しようとする研究が多く行われている.本研究では,作業環境を整備することによってロボットの機能を支援する立場を採り,"ロボットの作業環境が変化し得る#"ロボットが実現するべき作業が多様#という特徴を有する家庭・オフィス環境において有効に動作するロボットシステム(Fig.1)の構築を目指す.具体的には,以下の二つの事柄を実現する.(1)ロボットの「自己位置同定機能」と「対象物位置同定機能」を支援するランドマーク部と,「作業理解機能」を支援する記憶部から構成される「記憶機能付きマーク(Fig.2)」を提案し,それを作業環境内の適切な位置に配置する.(2)(1)で整備された環境下におけるロボットの「記憶機能付きマーク」による作業実現の有効性を「数メートル離れた場所に存在する引き戸開け」実験(Fig.3)を行って検証する.引き戸開け実験経過をFig.4 に示す.6回の試行に対し,5回成功した.成功した場合の総走行長は約10mであり,指令を受けてから作業終了までに要した時間の平均は8分20秒であった.作業に要した時間は,計算機内のプロセス間通信のオーバーヘッドによるものが多く,制御アーキテクチャの改良により短縮可能であるため,本質的な問題ではない.以上により,記憶機能付き画像マーク及び,マークを使用した環境整備手法,マークの利用方法の有効性が示された.
Keywords: Service Robot, Environmental Support, Artificial Landmark, Mark Recognition
参考文献