4 脚ロボットによる物体の協調搬送制御

 段差や斜面などが存在する環境おける大型物体の運搬作業を自動化するには,不整地に適する移動機構を有する移動ロボットが多数で協調して作業を行うことが有効である.本研究では, 3次元環境下における複数の4脚ロボットによる協調搬送システムを構築する.

 脚型ロボットは歩行に伴い胴体が揺れ,搬送対象物(以下,対象物)も揺れる( Fig. 1).そこで,(a)対象物への過大な内力を回避することと,(b)対象物の位置・姿勢の測定値をフィルタリングすることが重要になる.このとき,測定値は対象物の変位成分とロボット自身の揺れ成分を含むので,そのまま対象物変位として直接フィードバックすることはできない.本研究では,ロボット自体を揺れないように制御する問題は扱わず,揺れを伴うロボット(群)に対する動作設計を行う.

 まず, (1)過大な内力の防止と振動抑制のための適切な自由度配分を行った2台の4脚ロボットからなる搬送システムを構成する.次に,(2)歩行の周期性に着目し,ロボットの揺れモデルを作成する.測定値(対象物の変位と全体の揺れ)と揺れモデルの差をとり,ロボット自体の揺れ成分を除去し,対象物の変位と他のロボットの揺れを推定する(Fig. 2).さらに,(3)ロボット胴体の揺れにロバストなシステムにするため,対象物の原点付近の微少変位に対して,ロボット出力速度の不感帯領域を揺れモデルに基づいて設定する.本手法の有効性は,Fig. 3に示す4脚ロボットを用いた実験により検証された.

   Keywords: Cooperative Transportation, Quadruped Robot, Multiple Mobile Robots

参考文献

  1. 原他:“不整地における2台の脚型ロボットによる物体の協調搬送”,日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会’98講演論文集(ROBOMEC'98),1AII1-2 (CDROM), 仙台,June 1998.
  2. 西林他:“2台の脚ロボットによる自律的協調搬送”,日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会’98講演論文集(ROBOMEC'98),2CI1-7 (CDROM), 仙台,June 1998.
  3. 原他:“歩行時の揺れモデルを持つ4脚ロボットによる協調搬送制御”,日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会’99講演論文集(ROBOMEC'99),2P2-56-086(CDROM), 東京,June 1999.
       
Fig. 1 Cooperative transportation with vibration         Fig. 2 Sensed value model

   
(a) End-effector of 1 dof (b) Robots and object (c) End-dffector of 5dof
Fig. 3 Overview of cooperative transportation by quadruped robots equipped with end-effectors