今日,生産を取り巻く状況は大きく変化しつつある.かつては消費者の嗜好も単一かつ単純であり,製造者は少ない種類の製品を大量生産すれば良かった.今では消費者の好みも多様化し,製造者は幅広いラインナップを常時揃え,要望に応じた製品を直ちに生産しなければならない.これは,製品の特性に応じた適切な生産ラインの設計,それに従った機器のレイアウト設計の必要性を意味する.現状において広く普及しているレイアウト固定型の生産システムは,作る製品の種類が激しく変化するような生産形態には対応できない.そこで我々は,次世代型の柔軟な生産システムの研究を行っている.
具体的には,次のような2つの研究を進めている.
この研究では,生産活動全般の中で特に組立作業に注目している.我々が提案したシステムは,ホロンの概念に基づき,階層型の制御構造を持つ.エージェントの階層構造により,製品の生産は複数の単純作業へと自律的に分解される.実際の機器と制御部分との間の通信は契約ネットプロトコルによって行われ,必要な生産機器が随時選ばれて生産に参加する.
この研究では,生産活動の中で特に搬送に注目し,搬送量や搬送経路の変化に柔軟に対応できる搬送システムを研究している.我々は,新しい搬送モジュールを提案した.これはベルトコンベアと自律搬送車(AGV)を組み合わせたものであり,AGVの柔軟性とベルトコンベアの作業効率性を兼ね備えている.
Fig. 1 Assembly cell with concept of holon Fig. 2 AGV with belt conveyor