Manipulation

―ロボットマニピュレータによる器用な物体操作−

 ロボットマニピュレータによる物体の操作(マニピュレーション)に関しては,これまで多くの研究がなされている.しかし,そのほとんどは,対象物を堅く把持していわゆる“force closure”“form closure”を形成し,その前提条件の下で操りの議論を行っている.しかし,人の手による操りを考えると,机の上で物を押す,倒す,弾く,など,対象物を把持することなく様々な器用な操りを行うことで,把持だけでは実現されない汎用的な作業を行っている.

本研究室のマニピュレーショングループでは,上記のように,ロボットマニピュレータが人間の作業により近い操りを獲得することを目指し,周辺環境を有効利用した器用な物体操作の実現を目的としている.このような器用さを導入することで,従来のピックアンドプレイス型のみを用いた操りに比べて,操作コストの低減,簡単な機構による操りの実現,高効率化,それまで不可能であった作業の実現,など様々なメリットが期待される.

これまでのマニピュレーショングループの主な研究は

  1. 押す,転がす,など対象物の周辺環境を有効利用することで,複雑な環境下に置かれた対象物の操りを可能とする“グラスプレス・マニピュレーション” (Fig. 1).
  2. 対象物を弾くことにより,マニピュレータの可動範囲外に対象物を変位させることを可能とする“リリース型マニピュレーション”(Fig. 2).

等を行っている.

参考文献

1)  Y. Aiyama and T. Arai: “Dexterous Manipulation Methodology”, Proc. 1996 IEEE/RSJ Int. Conf. Intell. Robots and Systems, pp 905-910,1996.

 

Fig. 1 Graspless Manipulation

Fig. 2 Releasing Manipulation