我々は 1989年から移動ロボット群の協調手法の研究を行ってきた.複数の移動ロボットで構成される群ロボットシステムは,ロボット間の協調により高度な作業の実現が可能であるが,一般的な作業実現を可能とするアーキテクチャの構成が難しい.我々は,実用的な移動ロボット群システムとは,各ロボットが程々に有している知能に基づいた大まかな計画立案と,作業遂行時における実時間制御の両者を統合したものになると考えている.我々はこれをDwarf Intelligenceと呼んでいる.
近年は,ロボットが多様な役割を果たすことによってシステムの動的変化を伴う協調作業や,物体の姿勢を変化させたり物体を持ち上げて運搬するなど力学的条件を考慮する必要のある協調作業に取り組んでいる.具体的には以下の3つのテーマについて研究を進めている.
群ロボットシステムに対して複数種類のタスクが融合されて与えられた際の解決法について考察する.タスクの進行と共に動的に変化する環境状況に応じて物体を運搬するロボット台数を変化させるなど,柔軟な搬送システムを構築している.
◆ 複数の4脚ロボットによる協調搬送制御(Fig.2 )
群ロボットシステムを構成する移動ロボットとして脚型ロボットを用い,作業範囲を段差や斜面のある3次元環境に拡大する.このとき,歩行に伴いロボット胴体が振動するなどの脚型ロボット特有の問題を考慮した動作戦略・協調手法を構築している.
◆ 道具を用いた複数移動ロボットによる物体操作計画(Fig.3 )
複数の移動ロボットによる物体搬送などの作業を柔軟かつ容易に行うために,ロボットが道具を用いる手法を提案する.搬送経路を生成する大域的経路計画と物体姿勢を変化させる操作計画を統合したシステムを構築している.