対象物の特性・流量に応じて要素の組み替えを行いながら搬送するシステムの研究が産業界で進められている.この要求を満たすものとして,群移動ロボットの導入が期待されている.本研究では,「多様性への対応」や「群の変態」,未知対象物の同定に必要となる「センシング戦略」の問題を同時に解決するための手法を提案している.
本問題の想定する状況をFig. 2に示す.質量分布が明らかでない対象物を複数のロボットで持ち上げ,対象物を移動するためには,(a)荷重計測による対象物重心位置の同定 (b)最適荷重配分を与える配置の決定 (c)動作結果が期待と異なる場合の再計画 (d)移動誤差蓄積による相対位置関係の破綻の防止 の各プロセスの実現が必要になる.
動作の構成をFig. 1に示す.搬送物の形状より,物体の重心位置に関する確率分布を仮定し,把持可能確率を最大化する配置で物体を持ち上げる.持ち上げに成功した場合は,センサ等の出力値から対象物の特性が計算され(a),必要に応じて荷重配分平均化を実現する接触点に再配置する(b).操作中は,対象物の特性と計測荷重から接触点に関する拘束条件を,対象物特性と接触点情報から荷重分布に関する拘束条件を得て,それぞれ最小二乗法推定を繰り返すことにより,移動誤差の蓄積による搬送形態の破綻を防ぐ(c).変態行動は,現在の状態を維持して搬送の継続が不可能となる荷重が計測された場合に起こる(d).
上記の問題のうち,(c)を除く部分については,数値シミュレーションおよび実験システム(Fig. 3)によって現在までに動作が確認されている.
Keywords: Mobile Robots, Active Sensing and Transformation
参考文献