マルチエージェント系における行動戦略の獲得
(湯浅助教授・新井教授)
現実社会において自律した行動主体(エージェント)は,さまざまな行動の選択を迫られる.そこで,合理的なエージェントにおける意思決定と行動選択の一般理論としてゲーム理論が考案された.エージェントがうまく行動するためにはゲーム理論を「解く」こと,すなわち周囲の状況に応じて自己の行動様式を変更することが重要である.ところが,マルチエージェント環境においては,自分自身が他のエージェントにとっては環境であり,相手はこちらの行動に合わせて自分の行動を最適化しようとする.このような状況では,必ずしも最適な行動様式は存在しない.そのようなマルチエージェントの行動環境の一つとしてU-Mart(http://www.u-mart.econ.kyoto-u.ac.jp/)が挙げられる.U-Martとは人工の先物取引市場モデルであり,本来は市場の研究および教育のために提案されたものであるが,マルチエージェントの行動環境としても興味深いものになっている.
本研究では,マルチエージェント系の行動環境としてU-Martを考え,その行動戦略の中から何らかの知見を得ることを目的としている.これまでに,市場価格のモデル化・ウェーブレット解析等のデータ解析を中心とする手法による行動戦略の有効性を検証してきた.
Keywords: Multi-Agent System, U-mart
Fig. 1
U-Mart System
Fig. 2
U-Mart simulator