移動ロボットの故障診断システム

本研究では,移動ロボットの故障診断システムを提案する.このシステムはある作業を実現すべきロボットが要求通りに動作しない場合,ロボット自身の視覚,触覚センサ情報に基づき,故障原因を特定するものである.特に, ロボット自身のアクティブな動作により,故障原因を高精度に推定する方法を示す.一般的な工作機械システムでは, 正常運転時は,その機械の運転状況を代表する各部品の工作状態を監視する各センサが一定の標準値または標準範囲に保たれる.したがって,現在の各センサが各標準値から外れるかどうか,又はどのように外れるかを検出することを利用すれば,不正常状態を検出したり,故障現象を記述したり,故障原因を推論することが容易になる.しかし,未知環境下で動作する移動ロボットでは,移動経路が未知であること,また,移動中は外界状況を検知するセンサ値が常に変動すること,という二つの理由でロボットの正常状態を示すセンサ値の標準値または標準範囲がない.この問題を解決するため,我々は以下の診断方法(“走行分析”と呼ぶ)を提案してきた.この方法は何か故障が発生したと判断すると,診断システムはロボットに種々の走行指令(直進,後退,回転等)を順番に送り,実際に各指令を実行させる.その実行結果を分析することにより,視覚などの外部センサ情報のみを用いて故障診断を行うより故障原因を精確に推論することが可能となる.本システムで使用する外部センサはCCDカメラ,距離計測センサ(Infrared, Sonar),接触センサである. 実ロボットによる移動実験により,提案手法の有効性を示す. Fig.1 に本システムの構成, Fig.2 に実験環境の概観を示す.

Keywords : Mobile Robot, Fault diagnosis, Reasoning

参考文献

顔他:“移動ロボットの故障診断システム”,日本機械学会ロボティクスメカトロニクス講演会‘ 99 講演論文集( ROBOMEC ’ 99 ),東京 , June,1999.

“SG”: a Silicon Graphics Workstation

Fig.1 Schematic view of system Fig.2 Full view of the experiment site