Human-robot coexistence −人間-ロボット共存

 将来,移動ロボットの活躍する場面の増加が予想され,人間とロボットが共存し,要求された作業を完遂することが期待される.その際,既存の環境を改変することなく移動ロボットが環境に適応し,自律的に活動することが理想であるが,現状では技術的に困難である.そこで,本研究グループではロボットに機能の完全性を要求することなく,環境あるいは人間がロボットの機能の一部を分担する,というアプローチをとる(Fig. 1参照).

  1. 環境設計問題:環境中にマークを貼付し,そのマークをロボットが計測し,作業を遂行する.マークとは,ロボットがそれを計測することで,位置・姿勢情報のみならずそこに記述された作業情報を獲得し,適応的な作業実行が可能となるよう考慮して環境内に設置する人工物のことである.本と本棚にマークをはり,本棚から本を取り出すといった一般的作業の遂行も期待できる.
  2. 環境利用問題:移動ロボットを使用する際には,エネルギの供給が重要な問題である.ここで,コードを引きながら環境内を移動することは現実的ではなく,一方,バッテリの容量にも限度ある.以上の観点から,ロボットの位置によって環境内の適当なコンセントを選択し,プラグを差し替えることを考える.行動可能範囲・稼働時間ともに増大することが期待できる(Fig. 2参照).

 完全に自律的な複数ロボット・システムを構成することは現状の技術では不可能に近い.従って,ある程度の自律性をもった系に人間が介在し,系と協調して作業を達成する手法が有効である.この場合,操作者と複数ロボットという一対多の関係であるため,人間が全てのロボットの状況を把握し,操作することはできない.そこで,ある程度の自律性をシステムに持たせ,かつロボットを群として扱うことで人間とロボットを協調させる研究を行っている(Fig. 3参照).

Fig. 1 Human-robot coexistence

    

Fig. 2 Use of wall sockets     Fig. 3 A human and multiple mobile robots